(1)スペイン風邪
新型コロナウイルスが世界で猛威。 1720年;ペスト→1820年;コレラ→ 1920年;スペイン風邪…… 人類をおよそ100年に一度襲うパンデミック。 1世紀前に流行した“スペイン風邪(=はやりかぜ)”についてレポートします。 1918年から1920年までの2年間、世界中で大流行。死亡者は世界で4,500万人(当時の世界人口;20億人)、日本でも約45万人。 スペイン風邪の原因がウイルスであることすら知らなかった当時の人々の、未知なる感染症への対処は、現在の“新型コロナ禍”への一般的な対処・予防法と驚くほど酷似。 「マスク着用」「患者の隔離」などが行われました。学校の休校や人ごみの禁忌そして各地での集会、興行、力士の巡業、活劇などは続々中止か、または閉鎖されていった。 スペイン風邪の猛威に対しては防衛的な姿勢を貫き、じっと私たちの免疫力がウイルスに打ち勝つのを待つ。そのようにして終息し、日本はパンデミックを乗り越えていきました。人々が“免疫抗体”を獲得したからです。 私たちは常に過去から学び、「スペイン風邪100年」という節目のパンデミックに“泰然自若”と対応しましょう。 一日も早い終息、平穏な日常が戻ることを切に願います。 |
■ペスト;Plague (1720年)
ヨーロッパで「黒死病」(=敗血症性ペスト・皮膚が黒くなる)と呼ばれた「ペスト」。フランスのマルセイユを始めとして大流行。 ※(参考)14世紀にはペストによりヨーロッパの人口の30%~60%が亡くなっており、 ヨーロッパの社会、文化を形成する上で多くの影響を与えた伝染病だと言われている。 |
【ペスト菌】 |
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【Der Doktor Schnabel von Rom(疫病を避けるためにガスマスクをしたペスト医者)】(パウル・フュルスト画、1656年) マスクが烏の嘴状になっているのは、この中に感染予防として香辛料などをいれていたそうです。 |
■コレラ;Cholera(1820年)
インドから東南アジア、広東、北京、中東、ヨーロッパ、東アフリカで流行した感染症である。まさにコレラはパンデミックと言われる広がりを見せた感染症の歴史である。 コレラは元来、ガンジス川のデルタ地帯で見られた風土病(下痢による感染)だったが、人々の往来、移動により世界へ拡大するようになる。 江戸時代末期には日本でも流行している。『安政コレラ』『ころり』と呼ばれ、江戸の大衆に恐れられた。 |
【コレラ菌】 |
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【"Le Petit Journal"】(フランス・パリの新聞/1912.12) コレラを残忍な死神として描いている。 |
■スペイン風邪;Spanish flu(1920年)
【スペイン風邪(H1N1ウィルス)】 当時は、ウィルスの存在はまだ知られていなかった。 細菌が感染症の原因と考えられていた。 多くの医療関係者は未知なる病原体;ウィルスに悪戦苦闘した。 |
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【アメリカ・イリノイ州保健局のチラシ】 「無知は戦争よりも大きな破滅をもたらす」と題されている。 第1次世界大戦中のため、多くの兵士が野戦病院で倒れていった。 このスペイン風邪で亡くなった人は4,500万人。 第1次世界大戦での戦死者が1,600万人であったことを考えると、スペイン風邪の猛威がよく分かります。 |
■新型コロナウィルス;COVID-19(2010年)
【 新型コロナウィルス (COVID-19) 】 |
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【新型コロナウイルスで世界は中国に感謝すべき?】 快点起来説謝謝中国! さっさと起きて、中国よありがとう、と言いなさい! A Logic With Chinese Characteristics / (c) 2020 REBEL PEPPER/WANG LIMING FOR NEWSWEEK JAPAN 【コロナ津波が、地球を襲う】 コロナウィルス対策はすでに手遅れか:「予防」的観点が欠如する日本の危機管理。 |
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2)レトロ・アンティーク“フォトギャラリー”(in USA)
『スペイン風邪』という名称ですが、実はアメリカで始まったものだと言われています。 第一次世界大戦時であり、各国は報道が規制されていました。しかし、中立国であったため情報統制がされていなかったスペインでの流行が大きく報じられたことで、『スペイン風邪』と呼ばれることになったという事です。 1918年撮影の写真を紹介させて頂きます。 |
スペイン風邪の患者でごった返すアメリカ軍の緊急の野戦病院;カンザス州フォートライリー。
隔離施設です。外の空気に触れるのがよいとされたため、こうした半野外の隔離施設が世界中で作られました。 |
左)ガーゼのマスクで顔を保護するシアトル警察の警官。 右)欧米人では珍しい全員マスク着用です。右端の人物は「WEAR A MASK OR GO TO JAIL(マスクしろ、でなきゃ牢獄行き)」というスローガンを掲示しています。 |
左)電話交換手もマスク着用で仕事。 右)スペイン風邪が猛威を振るうなかで試合する野球選手。 バッターボックスに立つ野球選手もマスク。よく見ると審判もキャッチャーも着用しています。 |
左)床屋なども含め、市民活動やイベントは野外での開催が奨励されました。 右)不思議なマスク。治療用?の吸入器のようにも見えます。 |
3)レトロ・アンティーク“ポスターセッション”(in JAPAN)
大正時代の写真、喚起・啓蒙のポスターを紹介します。 やはり、基本となるのは、『うがい』『マスク』『手洗い』……そして、お日さまの元での適度な運動で『免疫力』の増進です。 |
【参考文献】 ※『日本を襲ったスペイン・インフルエンザ 人類とウイルスの第一次世界大戦』(藤原書店;速水融) ※『流行性感冒 ”スペイン風邪”大流行の記録』(内務省衛生局編、平凡社から復刻) |
日本の女学生もマスク着用 |
・「マスク」と「うがひ」 ・汽車電車の中ではマスクせよ 外出の後はウガヒ忘るな |
・恐るべし「ハヤリカゼ」の「バイキン」! ・マスクをかけぬ命知らず! |
・流行性感冒? ・手當が早ければ直ぐ治る
・感染を広げる『風邪の魔人』が窓越しに描かれている。 |
・含嗽せよ 朝な夕於に |
・ハヤリカゼはこんな事からうつる! ・「テバナシ」に「セキ」をされては堪らない |
・悪性感冒:病人は成るべく別の部屋に! ・親と子の居間を隔てて身を守れ 病の敵の宿にある間は |
・豫防注射で 宿のなく奈る 風乃神 |
・豫防注射と日光消毒 ・日光の直射と医者の注射には 疫病神も負けてクシャクシャ
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